貧しくも、明日への夢を持って健気に生きる女。深い心の闇を抱えて世間の片隅にうずくまる博徒。武家社会の終焉を予想する武士の慨嘆。立場、事情はさまざまでも、己の世界を懸命に生きる人々を、善人も、悪人も優しく見つめる著者の目が全編を貫き、巧みな構成と鮮やかな結末とあいまった魅惑の短編集。
藤沢周平 Poradie kníh (chronologicky)



文春文庫: 麦屋町昼下がり
- 318 stránok
- 12 hodin čítania
「お助けくださいまし」と夜道を走ってきた女をかばい、片桐敬助は、抜き身の刀をもった男を斬った。かわせば女が斬られ、受ければ自身が手傷を負ったにちがいない。しかしその男は、藩内随一、とうたわれる剣の遣い手・弓削新次郎の父だった……。片桐と弓削、男の闘いの一部始終を、緊密な構成・乾いた抒情で描きだす表題作のほか、「三ノ丸広場下城どき」「山姥橋夜五ツ」「榎屋敷宵の春月」と円熟期の名品を収録。時代小説の味わいを堪能できる贅沢な1冊!
回天の門
- 576 stránok
- 21 hodin čítania
幕末の志士の中でも、清河八郎の評判はきわめて悪い。「変節漢」「山師」「出世主義者」とまで、ひとは呼ぶ。今なお誤解のなかにあるこの男は、荘内藩の素封家から飛び出してきた“草莽の士”であった。卓越した頭脳と肉体にめぐまれたカリスマでありながら、ほんの少しだけ倒幕には早すぎた志士。幕府の罠にはまり、同志や妻をうばわれ、長く潜行した日々。郷里出奔から、攘夷を説いて諸国をまわり、ついに麻布一ノ橋で凶刃に倒れるまでの、悲運の人生を描く。